saison des pluies
梅雨はフランス語でsaison des pluiesと言う。直訳すれば「雨の季節」だ。梅雨に入って初めて雨が降った日、あの日はまるで台風が来たかのように空が荒れていた。この先一ヶ月こんな天気がずっと続くのかと気持ちが沈んだものの、その狂ったような嵐はたった一日で終わった。
いつもの梅雨が戻ってきた。出かけ際、あてにならない天気予報をながめ、結局はその日の気分で傘を持っていくかいかないかを決める。どんよりとした灰色の空に、じめっと肌にまとわりつくような空気。神様の涙のように雨が気まぐれで降れば、靴はちょっと湿気っぽくなって気に障る。そんな毎日が[[MORE]]続いている。天気につられて気持ちが晴れないこともあるけれど、梅雨だからこそ楽しめる過ごし方があることに気が付いた。いつもとちょっと違った過ごし方をするだけで、心がぽっと明るくなる。
梅雨を楽しむひとつの方法、それは本を読むということ。なんてこともないありきたりな答えだけど、本の世界に没入しているとあっという間に時間が過ぎ去っていく。外にあまり出かけたくならない今だからこそ、非日常を体験させてくれる本の世界に入り込んでみる。真面目な本を読みながらじっくり考え事をするもよし。小説の世界観に夢中になりながら感情移入するもよし。百冊本があれば、百通りの時間の流れがある。
ここ数日は学校から帰ってきて友達にすすめられた本をずっと読んでいる。ふだん触れるのは人間味のないドライな論文やニュースばかりだから、小説を読んでいると心がとってもあたたまる。
今日はいつもの土曜日よりもゆっくりと時間を過ごしたくなって、近所の散歩に行った。冷たい紅茶を水筒に詰め、カメラを肩から斜めに下げ、仕上げに本を手提げにすとんと一冊。紫陽花を探しながら川沿いをぶらぶらして、小鳥たちのさえずりを聞きながらベンチでのんびり本を読んだ。どんよりと灰色の雲が広がっていたけれど、ベタベタしすぎないぐらいのそよ風がちょうどよかった。たまにはこうして部屋から出てゆったり時間を過ごすのも大切だな、と。
さて今日は7月1日、一年の折り返し地点にたどりついた。ここまでの半年間は信じられないほど早く過ぎ去っていった。ついこの前まで高校の教室でみんなでワイワイしゃべりながらお昼を食べていたというのに、今ではすっかり大学生。もうすぐ七夕だけれど、何をお願いしよう。ひとまず、残りの半年も充実して過ごせますように…。